Seymour Duncan Antiquity Humbucker レビュー

ダンカンのヴィンテージピックアップの代表選手、「Antiquity Humbucker」をレビューします。


モノはこちら↓

まるで、ブランド品の小物類のようなパッケージです。
ピックアップを販売する上で、ここまでの包装が必要なのでしょうか…
他のダンカンピックアップと同じパッケージにして、値段を安くしてくれてもイイのですがね〜。


ダンカンはこのピックアップについて、こんな説明をしています。

『1955年にセスラバーが開発した、通称"Patent Applied For"を基に直流抵抗値その他全てのキャラクターを受け継ぎました。プレイヤー達に40年以上も使い古されたピックアップを容易に供給したいとのアイディアから、ピックアップカバー、エスカッション、スクリューに至るまで、徹底して経年変化の再現にこだわりました。オリジナルのサウンドにこだわり、あえて含浸処理はを施しておらず、ヴィンテージサウンドそのものを醸し出す事に成功したと自負しております。』


PAFを模したピックアップは沢山のメーカーから数え切れないほど販売されていますが、特に初期PAFは仕様が一定していなかったようで、ワイアリングも「大体この位かな〜」みたいな感じで巻かれていたりして、個体差が激しいと言われています。


私は、「PAFのコピー」が欲しかった訳ではなく、比較的パワーの無いハムバッカーが欲しかったので、このAntiquityの音がPAFに似ているかどうかは、購入の判断材料になりませんでした。


そして、このAntiquityは所謂「レリック」とか「エイジド」と呼ばれる処理が施されていて、見た目は正にヴィンテージ！
それもよくありがちな、中途半端に汚したことでなんだか逆に安っぽくなっている感じではなくて、本当に数十年前のピックアップではないかと見間違うほどの出来映えです。
付属されているスクリューもイイ感じのサビ具合で、さすが高価なピックアップだけはあります。


私はこのAntiquityをトーカイレスポールモデルに搭載しました。


作業の様子

完成～！！

しかし・・・

悲しいことにピックアップのヴィンテージ感に対してギターがあまりにも綺麗過ぎて、非常に違和感があります。
思わず自前エイジドを敢行しようかと何度も考えたのですが、きっと失敗するであろうと思い、踏み止まっています。


肝心の音の方ですが、ネット上でAntiquityのレビューや感想を見ていると、「枯れている」、「色気のある音」、「シングルコイルよりもパワーがない」、「賢い音」、「ごまかしが効かない」、「下手がバレる」など色々と言われています。


というコトで、Antiquityの音を録音してみました。
先に申し上げときますが、ピックアップの特性が良く分かるように、非常に「淡々と」弾いています。


そもそも、このレビューを書こうと思ったのが、YoutubeなどでAntiquityの紹介やレビュー動画を見ていると、投稿者がやたらと「雰囲気を出して」弾いてしまっていて、ピックアップ本来の音が非常に分かりづらいと感じたためです。
（例えば、ギターのボリュームを絞ったり、トーンを絞ったり、極端に歪ませたりするなど・・・）


「どうして素直に弾かないのよー！　こちらとしては素の音が知りたいのにー」ってな具合です。
なので、ここではギター側ボリューム、トーンともにフルテンで、余計な抑揚を付けずに弾きました。


録音環境は、以下のとおり。
ギター ： トーカイレスポールモデル＋Antiquity Bridge & Neck
オーディオインターフェース ： Yamaha n12 ミキサー
DAW ： Cubase5＋GuitarRig5


ピックアップの切り替え順は全て、「Bridge → Bridge+Neck → Neck」で、同じフレーズを弾いています。


まずは、クリーンでのローコード

続いて、クリーンでのアルペジオ

続いて、クリーンでのソロ

最後に、ドライブさせたソロ（GuitarRigの中にあるコンポーネントからTS系ODを使用）

いかがでしたでしょうか。

一般的なパワーのあるハムバッカーだと太い音が出る反面、コントロールしにくい（表現力に欠ける）とも言えます。

しかし、このAntiquityであればバッキングの途中でオブリガード（合いの手）を入れたいときなど、ピッキングの強弱でニュアンスを出しやすく、便利な面もあります。

「飾り気のない非常に素直なピックアップ」

こんな感想を持ちました。